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のぞみで喉が渇いた!新幹線自販機の今と昔、知られざる変遷史

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  • 東海道新幹線の車内自販機は2014年に廃止済み
  • のぞみ停車駅のホームに86台の自販機を新設
  • 山陽・九州新幹線の一部編成には車内自販機が残存

東海道新幹線で飲み物を買いたいとき、どこで購入できるのか迷ったことはありませんか。実は、東海道新幹線の車内自動販売機は2014年に全廃されており、現在は車内に自販機が設置されていません。2023年10月末には車内ワゴン販売も終了し、新幹線での飲み物購入方法が大きく変わりました。本記事では、東海道新幹線・山陽新幹線の最新の飲み物購入事情を徹底解説します。

東海道新幹線の自動販売機は現在どうなっているのか

東海道新幹線の自動販売機事情は、ここ10年で劇的に変化しました。かつては700系新幹線の一部編成に車内自販機が設置されていましたが、2014年までに全て撤去されています。現在の東海道新幹線では、のぞみ・ひかり・こだまのいずれの列車にも車内自販機は存在しません

この変化の背景には、駅構内のコンビニや売店の充実があります。乗客の多くが事前に飲食物を購入して持ち込むようになったため、車内自販機の需要が減少しました。さらに、走行中の列車内に設置された自販機は商品補充の手間やコストがかかり、販売価格も割高になる傾向がありました。

2023年10月31日には、東海道新幹線の象徴的なサービスだった車内ワゴン販売も終了しました。これにより、普通車の乗客は車内で飲み物や食べ物を購入する手段がなくなりました。ただし、グリーン車に限っては新しいモバイルオーダーサービスが導入されています。

車内自販機が廃止された理由

東海道新幹線から車内自動販売機が姿を消した理由は複数あります。最大の要因は駅設備の充実による需要の減少です。東京駅や新大阪駅などの主要駅には、コンビニや売店が多数設置され、品揃えも豊富になりました。乗客は乗車前に好みの商品を選んで購入できるため、わざわざ車内の自販機を利用する必要性が薄れました。

次に、運用コストの問題があります。列車内の自販機は車庫に入庫したときにしか商品を補充できず、駅構内の自販機と比べて管理が困難です。補充作業の手間やコストを考えると、採算が取りにくいビジネスモデルでした。

さらに、車内自販機の商品は一般的な自販機よりも価格が高めに設定されていました。これも乗客が車内自販機を避ける要因となり、利用率の低下につながりました。東海道新幹線のような乗車率の高い路線でさえ採算が取れなくなり、2014年に全廃という決断に至りました。

このグラフからわかるように、東海道新幹線の車内自販機は700系の導入とともに増加しましたが、駅設備の充実とともに段階的に減少し、2014年に完全廃止となりました。これは新幹線サービスの大きな転換点でした。

のぞみ・ひかり・こだまの自販機設置状況

現在運行されている東海道新幹線の全ての列車において、車内に自動販売機は一切設置されていません。これは、のぞみ、ひかり、こだまのいずれの列車タイプにも共通しています。16両編成のN700系、N700A、N700Sのすべてで自販機は撤去済みです。

過去には、特定の号車のデッキ部分に飲料の自販機が設置されていました。特に700系では、11号車付近に自販機コーナーがあり、コーヒーやジュース、お茶などを購入できました。しかし、利用率の低下と運用コストの問題から、2014年までに全て撤去されました。

2023年10月末の車内ワゴン販売終了後は、普通車の乗客が車内で飲食物を購入する手段が完全になくなりました。そのため、乗車前にホーム上の自販機や駅構内の売店で購入することが必須となっています。

各列車タイプの現状

のぞみは東海道新幹線の主力列車で、1時間に最大12本が運行される時間帯もあります。16両編成で、8号車から10号車がグリーン車、1号車から3号車が自由席、その他が指定席となっています。全ての号車に自販機は設置されていません

ひかりは、のぞみよりも停車駅が多い列車です。編成や座席配置はのぞみと同じ16両編成ですが、こちらも車内自販機は一切ありません。2023年10月末まではワゴン販売が実施されていましたが、現在は終了しています。

こだまは各駅停車タイプの列車で、こちらも16両編成です。こだまの車内ワゴン販売は、のぞみやひかりよりも早い段階で終了していました。理由は、短距離利用が多く、車内販売の需要が少なかったためです。停車時間が長い駅では、ホームの売店を利用することが推奨されています。

列車タイプ 車内自販機 車内販売 代替サービス
のぞみ なし 2023年10月末で終了 グリーン車のみモバイルオーダー
ひかり なし 2023年10月末で終了 グリーン車のみモバイルオーダー
こだま なし 以前から実施なし ホーム自販機・駅売店

この表が示すように、東海道新幹線の全ての列車タイプで車内自販機は存在せず、普通車では車内での購入手段がありません。グリーン車に限り、モバイルオーダーで飲食物を注文できるサービスが提供されています。

東海道新幹線ホーム上の新自販機システム

車内ワゴン販売の終了に伴い、JR東海は2023年10月から新たな取り組みを開始しました。それが、のぞみ停車駅のホーム上への自動販売機86台の設置です。この自販機は、ドリップコーヒーとアイスクリームに特化した特別仕様となっています。

設置されたのは、東京駅、品川駅、新横浜駅、名古屋駅、京都駅、新大阪駅の6つの主要駅です。各駅のホームに1台から3台ずつ配置され、合計86台が設置されました。2023年10月12日から順次設置が開始され、11月1日に全駅での設置が完了しました。

自販機の種類は3つに分かれています。SHINKANSEN COFFEEと呼ばれるドリップコーヒー自販機が45台、スジャータのアイスクリーム自販機が21台、サーティワンアイスクリームの自販機が20台です。それぞれの自販機は、東海道新幹線の爽やかな空色でラッピングされ、ホーム上でも見つけやすいデザインになっています。

SHINKANSEN COFFEEの特徴

SHINKANSEN COFFEEは、JR東海とトーヨーベンディングが共同開発した東海道新幹線特別仕様のドリップコーヒー自販機です。最大の特徴は、新幹線の列車名を冠した4種類のオリジナルブレンドが用意されていることです。

ラインナップは、新幹線のぞみブレンド、新幹線ひかりブレンド、新幹線こだまブレンド、そして最高級のドクターイエローブレンドの4種類です。それぞれ焙煎方法やブレンド比率に特徴があり、味わいが異なります。価格は、のぞみ・ひかり・こだまブレンドがビッグサイズ300円、ジャンボサイズ350円、ドクターイエローブレンドは500円です。

さらに、コーヒー以外にもカプチーノ、カフェラテ、紅茶など、全13種類の商品が用意されています。これは車内販売では提供が難しかった多彩なバリエーションです。コーヒーを抽出している間は、東海道新幹線の車内チャイムで使われている「会いにいこう」がBGMとして流れるという粋な演出もあります。

アイスクリーム自販機の魅力

車内販売で絶大な人気を誇っていたのが、シンカンセンスゴイカタイアイスとして知られるスジャータのアイスクリームです。マイナス60度以上の超低温で保存されるため、非常に固く、スプーンがなかなか通らないことで有名でした。この名物アイスが、ホーム上の自販機で購入できるようになりました。

スジャータアイスの自販機では、定番のバニラをはじめ、東海道新幹線限定フレーバーも販売されています。いちご(静岡県産紅ほっぺ)やベルギーチョコレートなど、常時4種類程度のフレーバーが用意されています。価格は340円から400円で、車内販売と同程度の価格設定です。

もう一つのアイスクリーム自販機は、サーティワンアイスクリームです。実は、新大阪駅のホームに設置されていたサーティワン自販機が、国内のサーティワン自販機の中で売上1位を記録していたことから、台数を大幅に増やすことになりました。ポッピングシャワーやチョップドチョコレート、ベリーベリーストロベリーなど、常時7種類程度のフレーバーが楽しめます。価格は全て350円です。

このグラフが示すように、ホーム上の自販機はドリップコーヒーが最も多く設置されており、全体の半数以上を占めています。これは車内販売で特に需要が高かったコーヒーに対応するための配置です。

グリーン車専用モバイルオーダーサービス

東海道新幹線のグリーン車では、2023年11月1日から新しいサービスが開始されました。それが東海道新幹線モバイルオーダーサービスです。このサービスは、乗客がスマートフォンから食事や飲み物を注文すると、パーサー(客室乗務員)が座席まで届けてくれる仕組みです。

利用方法は簡単です。グリーン車の各座席に設置されたQRコードをスマートフォンで読み取り、車内サービスのポータルサイトにアクセスします。そこから、列車番号、号車、座席番号、降車駅を入力すると、商品ページに移動します。コーヒー、アイスクリーム、お弁当、おつまみなど、様々な商品をカテゴリー別に選択できます。

注文が完了すると、パーサーが商品を座席まで運んできてくれます。支払いは商品を受け取る際に現金で行います。このサービスはグリーン車の乗客のみが利用でき、普通車では利用できません

モバイルオーダーの大きなメリットは、自分のタイミングで注文できることです。従来のワゴン販売では、ワゴンが自分の座席に来るまで待つ必要があり、タイミングが合わないこともありました。また、希望の商品が売り切れていることもありました。モバイルオーダーなら、在庫状況を確認しながらゆっくりと商品を選べます。

山陽新幹線の自動販売機事情

山陽新幹線の自動販売機事情は、東海道新幹線とは異なる状況にあります。山陽・九州新幹線直通用のN700系8両編成には、現在も車内自動販売機が設置されています。これは、新大阪駅から博多駅、さらに鹿児島中央駅まで運行される「みずほ」や「さくら」に使用される車両です。

N700系8両編成(7000番台・8000番台)では、3号車と7号車のデッキに飲料の自動販売機が設置されています。これらは比較的長距離を走行する列車であるため、乗客の利便性を考慮して自販機が残されています。価格は一般的な自販機よりもやや高めですが、車内で飲み物を購入できる貴重な手段となっています。

一方、山陽新幹線を走る16両編成のN700系、N700A、N700Sには自動販売機は設置されていません。これは東海道新幹線と共通運用される車両であるためです。また、山陽新幹線内のこだまとして運行される700系8両編成や500系8両編成にも自販機はありません。

山陽新幹線の車内販売状況

山陽新幹線では、東海道新幹線よりも車内販売の縮小が先行していました。2024年3月15日をもって、山陽新幹線の普通車での車内ワゴン販売が終了しました。現在は、16両編成の「のぞみ」と「ひかり」のグリーン車(8号車から10号車)のみで車内販売が継続されています。

「みずほ」「さくら」「こだま」「つばめ」では、従来から車内販売は実施されていませんでした。ただし、特別な列車である「ハローキティ新幹線」の1号車「ハロー!プラザ」では、引き続き物販が行われています。

山陽新幹線でも、車内販売が縮小された理由は東海道新幹線と同様です。駅構内や駅周辺の店舗が充実し、飲食物を持ち込む乗客が増加したこと、そして将来的な労働力不足への対応が主な要因です。

路線 車両タイプ 車内自販機 設置号車 備考
東海道新幹線 N700系16両編成 なし 2014年に全廃
山陽新幹線 N700系16両編成 なし 東海道直通車両
山陽・九州新幹線 N700系8両編成 あり 3号車・7号車 みずほ・さくら等
山陽新幹線 700系8両編成 なし こだま運用
山陽新幹線 500系8両編成 なし こだま運用

この表から分かるように、現在車内自販機が設置されているのは山陽・九州新幹線直通用のN700系8両編成のみです。東海道新幹線や山陽新幹線の16両編成には一切設置されていません。

新幹線車内販売の歴史と変遷

新幹線の車内サービスは、時代とともに大きく変化してきました。東海道新幹線が1964年に開業した当初は、2両編成のビュッフェ車が連結されており、軽食や飲み物を提供していました。これは食堂車の簡易版のような存在で、乗客は立ち寄って食事を楽しむことができました。

その後、車内販売はワゴンを使った巡回販売に移行しました。11号車に準備室が設置され、そこから1号車方面と16号車方面にワゴンが分かれて往復するというシステムが確立されました。1往復に1時間から1時間半程度かかるため、東京から新大阪までの間に3回から4回の購入機会がありました。

700系の時代には、車内自動販売機が導入されました。11号車付近のデッキに設置され、コーヒーやジュース、お茶などが販売されていました。自販機の周辺にはグッズコーナーも設けられ、新幹線グッズを購入できる楽しみもありました。しかし、利用率の低下と運用コストの問題から、2014年までに全て撤去されました。

2023年10月31日、東海道新幹線の象徴的なサービスだったワゴン販売が終了しました。この決定には、駅設備の充実、静粛な車内環境を求める声、そして将来的な労働力不足への対応という3つの理由がありました。山陽新幹線でも2024年3月15日に普通車での車内販売が終了し、新幹線の車内サービスは新たな時代に入りました。

このグラフは、新幹線車内サービスが時代とともにどのように変化してきたかを視覚的に示しています。ビュッフェ車から始まり、ワゴン販売が主流となり、一時期は車内自販機も併存しましたが、最終的にグリーン車専用のモバイルオーダーへと移行しました。

東海道新幹線で飲み物を購入する実用ガイド

現在の東海道新幹線で飲み物を購入する方法は、乗車する座席クラスによって異なります。ここでは、それぞれの状況に応じた最適な購入方法を紹介します。

普通車利用の場合

普通車を利用する場合、乗車前にホーム上の自販機または駅構内の売店で飲み物を購入することが必須です。車内には自販機がなく、車内販売も実施されていないため、乗車後に購入する手段がありません。

のぞみ停車駅(東京、品川、新横浜、名古屋、京都、新大阪)では、ホーム上に特別な自販機が設置されています。SHINKANSEN COFFEEでは、新幹線特別仕様のドリップコーヒーを購入できます。抽出に最大95秒かかるため、列車の発車時刻に余裕を持って購入しましょう。

アイスクリームを購入したい場合は、スジャータまたはサーティワンの自販機を利用できます。特にスジャータの「シンカンセンスゴイカタイアイス」は、車内販売時代の味を再現しており、新幹線旅行の名物として人気があります。

こだま停車駅でも、通常の飲料自販機は設置されています。ただし、SHINKANSEN COFFEEなどの特別仕様の自販機はのぞみ停車駅のみですので、注意が必要です。

グリーン車利用の場合

グリーン車を利用する場合は、モバイルオーダーサービスを活用できます。座席に設置されたQRコードをスマートフォンで読み取り、専用サイトから注文します。コーヒー、お弁当、おつまみ、アイスクリームなど、様々な商品を選択できます。

モバイルオーダーのメリットは、自分のペースで商品を選び、好きなタイミングで注文できることです。在庫状況もリアルタイムで確認できるため、希望の商品が売り切れる心配が少なくなります。注文後、パーサーが座席まで届けてくれるので、席を立つ必要もありません。

ただし、支払いは現金のみで、クレジットカードや電子マネーは使用できません。また、降車駅の到着前に余裕を持って注文する必要があります。到着直前の注文は、時間的に対応できない場合があります。

おすすめの購入タイミング

東海道新幹線で快適に過ごすためには、飲み物の購入タイミングが重要です。最もおすすめなのは、乗車する駅の改札を通過した後、ホームに上がる前に駅構内のコンビニで購入する方法です。品揃えが豊富で、価格も通常価格で購入できます。

次におすすめなのは、ホーム上の自販機での購入です。特にSHINKANSEN COFFEEは、新幹線ならではの特別なコーヒーを楽しめます。ただし、抽出に時間がかかるため、列車の発車5分前までには購入を完了させましょう。

こだまを利用する場合は、停車時間の長い駅でホームの売店を利用する方法もあります。こだまは、のぞみやひかりが追い越すために5分以上停車することがあります。この時間を利用して、ホーム上の売店や自販機で購入できます。

まとめ

東海道新幹線の自動販売機事情は、2014年の車内自販機全廃、2023年のワゴン販売終了という大きな転換を経て、新しい時代に入りました。現在、車内には自販機が一切なく、普通車では車内での購入手段がありません。

その代わり、のぞみ停車駅のホーム上には86台の特別仕様自販機が設置され、ドリップコーヒーやアイスクリームを購入できます。グリーン車では、モバイルオーダーという新しいサービスが提供されており、快適に飲食物を注文できます。

新幹線を快適に利用するためには、乗車前に飲み物を準備することが重要です。駅構内のコンビニやホーム上の自販機を上手に活用して、快適な新幹線の旅をお楽しみください。

よくある質問(FAQ)

Q
東海道新幹線のぞみに自動販売機はありますか?
A

いいえ、現在の東海道新幹線のぞみには車内自動販売機は設置されていません。2014年までに全て撤去されました。飲み物は乗車前にホーム上の自販機や駅構内の売店で購入する必要があります。のぞみ停車駅のホームには、ドリップコーヒーやアイスクリームの特別仕様自販機が設置されています。

Q
東海道新幹線で車内販売は利用できますか?
A

2023年10月31日をもって、東海道新幹線の車内ワゴン販売は終了しました。現在、グリーン車ではモバイルオーダーサービスが提供されており、スマートフォンから飲食物を注文できます。普通車では車内での購入手段がないため、乗車前に駅構内やホーム上で購入する必要があります。

Q
山陽新幹線には車内自動販売機がありますか?
A

山陽・九州新幹線直通用のN700系8両編成(7000番台・8000番台)には、3号車と7号車のデッキに車内自動販売機が設置されています。これらは「みずほ」や「さくら」などで使用されます。一方、16両編成のN700系やその他の車両には自販機は設置されていません。

Q
SHINKANSEN COFFEEはどこで購入できますか?
A

SHINKANSEN COFFEEは、東海道新幹線ののぞみ停車駅(東京、品川、新横浜、名古屋、京都、新大阪)のホーム上に設置されたドリップコーヒー自販機で購入できます。新幹線のぞみブレンド、ひかりブレンド、こだまブレンド、ドクターイエローブレンドの4種類があり、価格は300円から500円です。

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